躍進・讃歌
《躍進・讃歌》は、1972年に第27回国民体育大会記念碑《太陽の讃歌》として鹿児島市鴨池公園に制作設置された作品の一部です。
《太陽の讃歌》は、高さ3メートル、幅4.2メートル、奥行き6.5メートルの巨大な右手の上に国体のシンボル像にふさわしい健康的な男性と女性の4人の群像が両手を大きく広げ躍動的なポーズをした作品です。本郷新が67歳の時に制作しました。
《躍進・讃歌》は、群像の中で肩を寄せ合う二人の女性を向かい合わせにしています。以前は、東京のフジサンケイグループの大手町ビルの前に1973年に設置されていました。フジサンケイグループは、所有する箱根の彫刻の森美術館に本郷の代表作《哭》や《花束》《鳥を抱く女》などを収蔵し、本郷の作品と深い縁をもっています。
1998年、ビルの改築に伴い、現在の北海道文化放送(札幌)の前庭に移設されました。本郷の作品は、高い台座の上に置かれる場合が多いくありますが、この作品は低い位置にあります。
《躍進・讃歌》の道路向かいにある日本キリスト教会札幌北一条教会は、1979年に移転されたもので、以前は北1条西6丁目にありました。本郷の両親が挙式をした教会で、本郷自身も幼いころ日曜学校に通っていました。1927年の改築に伴い設計を任されたのは、フランク・ライト・ロイドに学んだ若き建築家田上義也(1899~1991)でした。本郷ともゆかりの深い田上は、札幌彫刻美術館初代理事長でもあります。移転の際に再度設計したのも田上でした。田上の代表的建築であるモダンな北一条教会と本郷の作品が隣接しているのも、不思議な縁といえます。