レッスン

《レッスン》は、1976年に札幌グランドホテル新館オープンにあわせてコーヒーラウンジの入口に設置された作品です。現在は、車寄せのある正面入り口を入ってすぐの中央に設置されています。

手を頭の上にあげたもの、手を前に持ってきたもの、あるいは手を後ろに回しつま先立ったもの、三人がそれぞれ別のポーズを取っています。中央の手をあげた作品のポーズは、本郷の得意とする造形で、他に大阪中之島公園の《緑の賛歌》にも見られます。全体に表面の処理は簡略化していますが、一人一人の指先からつま先まで、踊り子の緊張感が見事に表現されています。

細部に目を移すと、踊り子の身体は、柔らかな肌を思わせるところがあり、硬質で冷たいブロンズでできているとは思えない、人のぬくもりを感じさせるような質感を持っています。

本郷の作品で三人の踊り子のテーマといえば、大通公園の《泉の像》があります。71歳で制作した《レッスン》には、《泉の像》と一味違った彫刻家としての自信と余裕がうかがえます。