本郷新記念札幌彫刻美術館
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第13回本郷新賞受賞作

1.選考経過
平成19年4月8日 運営委員会開催(東京)
4月21日 推薦委員(78名)委嘱
5月20日 候補作品の推薦締切(全国から36点の作品の推薦)
6月10日 選考委員会開催(東京)
7月18日 郵送によって正式発表
8月24日 贈呈式・記念事業等開催
8月25日〜10月14日 第13回記念本郷新賞受賞記念「前田哲明彫刻展」開催
(会場:本郷新記念札幌彫刻美術館)

2.選考結果
(1)選考委員会・・・平成19年6月10日
(2)選考委員・・・開催要項の通り
(3)推薦作品・・・36点
(4)選考委員の厳正な審査の結果
栃木駅北口駅前広場に設置された前田哲明制作の『煌樹』を受賞作とした。

第13回本郷新賞候補作品地域別一覧

北海道 2/埼玉県 2/富山県 4/兵庫県 1/宮崎県 6/青森県 1
千葉県 2/石川県 1/鳥取県 3/岩手県 3/東京都 3/岐阜県 1
山口県 2/栃木県 1/新潟県 1/愛知県 1/香川県 2
合計 36

選考所感 第13回本郷新賞選考委員 酒井忠康

  今回の本郷新賞の選考は、これまでもそうであったように、本郷家において去る6月10日に開催されました。前回に比べて推薦作品は多く、36点の中から選ぶことになりました。なかなか優れた作品が多くあって、選考委員のあいだでも意見の違いをみました。しかし、意見の交換を繰り返し、丁寧な選考をこころみた結果、最終的に前田哲明氏の《煌樹》を受賞作品に決定いたしました。
 これは、栃木駅周辺整備にあわせた駅前広場のシンボルとして設置された作品です。ダイナミックなフォルムを支える力強い構造が特徴です。しかも空間的な広がりがあって爽やかな印象をもたらします。パブリック・スペースに設置された作品の中から選ぶというこの賞の趣旨にも適合しています。
 前田哲明氏は、その経歴にあるように文化庁芸術家在外研修制度で1997―8年ロンドンに滞在しています。それ以前からイギリスへの強い愛着と共感を抱いていて、大いに成果を上げた研修となったようです。その証拠に帰国後、精力的に数々の個展を開催しています。また2001年には第19回現代日本彫刻展(宇部市常盤公園)で大賞を受賞、翌年には第29回長野市野外彫刻賞を受賞するなど、その活躍には目覚しいものがあります。
 期待できる大型彫刻家の出現といえるのではないかと思います。(第13回本郷新賞選考委員を代表して)

第13回本郷新賞受賞作 『煌樹』(こうじゅ)概要  受賞作写真

制作者  前田哲明 MAEDA NORIAKI
材質 ステンレス、積層ガラス
寸法 高さ700×横850×奥行850 cm
制作年 2005年
設置年 2005年10月25日(除幕式:2005年10月25日)
設置の趣旨 新しくなった栃木駅北口駅前広場において、栃木駅周辺地区及び駅前広場のシンボル、さらに新しい栃木の顔になるよう個性ある魅力的な空間の創出を目指し、モニュメントを設置する。
設置・管理者 栃木市
設置場所 栃木駅北口駅前広場
周囲の環境 栃木駅は栃木駅周辺整備とあわせて新装され、また、北口駅前広場は市民及び来訪者にとって心地よい空間となるよう整備された。
制作意図 
 この作品を制作するにあたり、あるひとつのモチーフが私の中を過ぎました。それは大地にしっかりと根を張り、力強く息づく一本の栃の木でした。
―たとえ将来、街が大きくなり様相が変化しても、この広場の栃の木は、末永く市民を見守っていくことでしょう。―
そんな願いが込められた声が、遠い何処からか私のもとに届いたような気がいたしました。
 栃の木は、市のシンボルであるばかりではなく市民の心を癒す対象として重要な役割をはたしています。市内を取りまく巴波川からうける豊かな恵みを一本の大きな栃の木に託し、その実りをまた大地に宿すようなニュアンスです。
 また、今回提案したモニュメントに色彩をとり入れましたのは、単にモニュメントの見栄えの問題ではなく、周囲との景観とのバランスを基本理念に据え、ごく自然発生的に決められたものでした。この色彩と共に、栃木市の地域性を感じさせ、しかも多くの人々により一層親しみをもっていただける「広場空間」とモニュメントを含む島全体のバランスを考えた「アートワーク空間」を創造するため、ただシンボルとして存在感を誇示するモニュメントではなく、モニュメントを含めた広場全体に象徴性をもたせました。
 この広場を通じて人々にふれあいの心を促し、それによって、真に豊かな未来づくりの基盤となることを切に望んでおります。

第13回本郷新賞を受賞するにあたって 前田哲明

 今日まで、私は空間にもたらす言葉を探し求めて制作を続けてきたように思います。
普段ギャラリーや美術館のホワイトキューブスペースで制作展示してきた自分の表現を前面に押出したカタチは、時として押し付けのように受け取られることがあります。とくに多くの人々の交錯する公共の空間の場合、その兆候は顕著で、私にとりましては常に困窮を余儀なくされます。そんな時、私は自分をリセットするために先ずその空間に秘められた言葉を発掘する気持ちで、与えられたスペースを自分なりに把握し、少しでも大きく魅力的に見せるようにすすめていきます。それは、言ってみれば演出家の仕事のようなものなのかもしれません。その過程には普段、作品を制作する手わざだけではなく、「場」に対して想いを馳せ、もう一度自分自身に立ち返りながら進める見えない仕事が存在します。彫刻を制作することは、手わざの占める要素がつい大きくなりがちですが、空間を彫刻するということは、高揚する精神と、この「場」に対する想いを最後まで維持できるか否かがすべてのように思います。それは、画家が一つのキャンバス「空間」のなかで絵具を重ねていく仕事に限りなく近いのです。
 このたび、本郷新賞を受賞しましたことは、私にとりまして全くもって寝耳に水なことで、少々戸惑っております。しかしこれを機にさらなる進化を目指し制作に精進を続けることがきればと存じております。

前田哲明

前田 哲明 MAEDA NORIAKI
1961 東京都に生まれる
1986 東京芸術大学美術学部彫刻科卒業、安宅賞受賞
1988 東京芸術大学大学院修士課程修了
1991 東京芸術大学大学院博士課程満期修了
1997 文化庁の芸術家在外研修制度による研修員としてロンドンに1年間在住。
現在、東京都渋谷区に在住

■個展
1986 ギャラリーパレルゴンII、東京
1987 ギャラリーK、東京
1988 レスポワール展 その7、銀座スルガ台画廊、東京
    ギャラリーK、東京
1989 ステゴザウルススタジオ、名古屋
1990 村松画廊、東京
    ときわ画廊、東京
1991 東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程研究発表展、東京芸術大学陳列館
    ルナミ画廊、東京
    ときわ画廊、東京
1992 ときわ画廊、東京
1993 ときわ画廊、東京
    「ニュー目黒名(画)座」目黒区美術館、東京
1994 ときわ画廊、東京
1995 ときわ画廊、東京
1997 ときわ画廊、東京
1998 ときわ画廊、東京
1999 ヴェランファウンディション、カリニアーノ、トリノ、イタリア
    ヨークシャー・スカラプチャー・パーク、英国
2000 ステファン・レーシイ・ギャラリー、ロンドン、英国
2001 ギャラリーGAN、東京
2003 ギャラリーGAN、東京
2004 ギャラリーGAN、東京
2007 ヨコハマポートサイドギャラリー、横浜

■グループ展
1987 “ENCLOSURE”世田谷美術館区民ギャラリー、東京
1989 Contemporary Works '89、東急百貨店日本橋店美術画廊、東京
    バトルロイヤルシリーズB「表層構築」袴田京太郎+前田哲明、ギャラリーαm、東京
    アートエキシビジョン'89「8つの波」、マイカル本牧、横浜
1990 アートエキシビジョン'90“WIND”マイカル本牧、横浜
    Contemporary Works '90、「彫刻家たちの現在」東急百貨店日本橋店美術画廊、東京
1992 第21回現代日本美術展、東京都美術館、東京
    ルナミセレクション'92II、ルミナ画廊、東京
1998 サマーエキシビジョンRA、ロイヤルアカデミー、ロンドン
    インサイド/アウトサイド、新潟県立近代美術館
1999 サマーエキシビジョンRA、ロイヤルアカデミー、ロンドン
2000 Prime展・Reflection of Color and Form、東京オペラシティーアートギャラリー、東京
2001 第19回現代日本彫刻展(大賞受賞)宇部常盤公園、山口
2002 第29回長野市野外彫刻賞 南長野運動公園(長野市)
2006 DOMANI・明日展 2006  損保ジャパン東郷青児美術館、東京
    Scultura Internazionale ad Aglie 2006 , Castello e del Parco, トリノ・イタリア
    第9回 KAJIMA彫刻コンクール(特別賞)、鹿島Kiblgアトリウム、東京、大阪
2007 メキシコ―日本彫刻展 マカイ美術館、メリダ市、メキシコ

■プロジェクト
2002 「TODAY AND TOMORROW」オールセインズ教会、ダリッジ、ロンドン

■シンポジウム
1994 釜山国際野外彫刻シンポジウム、オリンピック記念公園、釜山、韓国
2000 アイ・オヴ・ザ・ストーム、ラ・マンドリア・パーク、トリノ、イタリア

■パブリックコレクション
1991 海雲台オリンピック記念公園、釜山、韓国
1992 富山県立近代美術館
1995 新潟県立近代美術館
2001 宇部市常盤公園、山口
2002 南長野運動公園、長野
2002 ヨークシャースカラプチュアパーク、ウェークフィールド、ヨークシャー、イギリス
2005 栃木駅北口駅前広場モニュメント(2004年度指名コンペティション)、栃木市

第13回本郷新賞受賞記念 「前田哲明彫刻展」開催要項

1.趣旨 第13回本郷 新賞受賞を記念し、贈呈式とあわせて受賞作家 前田哲明の彫刻展を開催する
2.主催 本郷新記念札幌彫刻美術館、財団法人札幌市芸術文化財団、本郷新賞運営委員会
3.後援 北海道、北海道教育委員会、札幌市、札幌市教育委員会、
4.期間 2007年8月25日(土)〜10月14日(日) 会期中無休
5.会場 本郷新記念札幌彫刻美術館本館
6.展示作品 前田哲明の彫刻作品
7.観覧料 一般500円 (団体450円) 高大生 300円 (団体250円) 団体は10名以上 中学生以下無料
8.第13回本郷 新賞受賞記念展セレモニー 2007年8月24日(金) 午後2時〜
(1)贈呈式
(2)受賞記念『前田哲明彫刻展』開会式
(3)受賞記念事業

第13回本郷新賞要項
第13回本郷新賞受賞記念対談(2007年8月)